猿人:600万年前に二足歩行 骨のCT分析で判明

 約600万年前にいた人類の祖先の猿人は、すでに二足歩行していたことがコンピューター断層撮影(CT)による骨の化石の分析で判明したと、米仏の共同研究チームが3日付の米科学誌「サイエンス」に発表した。これまで確実に二足歩行をしていたと考えられているのは約400万年前の猿人で、人類の最大の特徴である二足歩行の歴史が一気に200万年もさかのぼることになり、人類史研究に大きな影響を及ぼしそうだ。

 600万年前の猿人は「オロリン・ツゲネンシス」と呼ばれ、2000年にケニア北西部で化石が発掘された。大たい骨がほぼ無傷で残っており、発掘当時から、外見的な特徴に基づき「二足歩行していたのではないか」と推定されていた。

 研究グループは、股関節につながる大たい骨のくびれた部分の内部構造をCTで詳しく調べた。その結果、骨の表層部が上側だけ薄くなっていることが分かった。これは樹上生活するチンパンジーなどとは異なり、直立二足歩行する人類と同じ構造だった。骨のほかの部分の形状も、類人猿よりは人類に近かった。

 研究グループは「分析結果は二足歩行の直接証拠を示している」と述べている。

 これまで、二足歩行が確実とされる最古の猿人は約400万年前にアフリカにいた「アウストラロピテクス・アナメンシス」だった。約600万年前は人類と類人猿が分岐した初期の時期と考えられている。
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# by saru3toru | 2004-09-03 10:21 | 科学情報

「失読症」、英語圏と漢字圏で原因部位に差

b0013356_1003471.jpg 脳卒中などで文字が読めなくなる「失読症」は、アルファベットを使う西洋人と漢字を使う中国人や日本人では、脳の損傷部位が違うことが、香港大の研究で分かった。

 文化に合わせた治療法の必要性を示した結果で、2日付の英科学誌ネイチャーに発表された。

 欧米を中心としたこれまでの研究では、失読症の人は、文字のつづりを音の固まりに分ける過程に障害があり、左脳の「頭頂葉」や「側頭葉」などでの神経活動の低さが原因と考えられてきた。しかし、香港大のリ・ハイ・タン助教授らが、先天的に失読症である中国人の子ども8人の脳を、磁気共鳴画像装置を使って調べたところ、左脳の「中前頭回」という西洋人とは別の部位の活動性が低いなど、これまでの実験結果とは大きく異なることが分かった。
 左の図の中で、中国語、英語の理解にはそれぞれ赤い部分、緑の部分が使われ、失読症の中国人では青い部分の働きが特に活発になっているということである。

 文字自体は意味を持たない表音文字のアルファベットを使う言語と、表意文字の漢字では、脳での読み方の仕組みが異なるらしい。研究チームは「理という漢字のなかに読み方を表す里が入っているなど、漢字の読み書きの仕組みは英語などとは大きく違う。文化に即した治療法の開発などにつながるのではないか」としている。
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# by saru3toru | 2004-09-03 10:07 | 科学情報

Darwin's finchesとBMP4

b0013356_9364165.jpg ダーウィンのフィンチは、生態的地位への適応により新しい動物種が生まれることの好例としてあげられているが、発生生物学者はそこに新しい展開をもたらした。

 チャールズ・ダーウィンは1835年にガラパゴス諸島を旅した際に、そこでは鳥の嘴のサイズや形に多くの変異があり、それが植物の種を砕いたり、果汁を飲んだりという特殊な仕事に適応した結果であると考え、適応により動物は進化するという考えを「種の起源」に記した。

 Harvard Medical Schoolの発生生物学者であるClifford Tabinは、太くて短い嘴を持つフィンチ3種と、細長い嘴を持つフィンチ3種の卵を用いて、発生に伴う遺伝子発現変動を、細胞増殖因子10種について調べた。その結果、Bone morphogenic protein 4 (BMP4)という増殖因子のみがそれら3種ずつで発現に大きな違いがあることが明らかになった。嘴の太いフィンチは、BMP4の発現が顕著であったが、3種のなかでも発現のパタンには違いがあるらしい。この結果はサイエンス9月3日号に発表された

 また同じ号のサイエンスに、University of Southern California の進化発生生物学者であるCheng-Ming Chuongは、ニワトリの嘴の形がBMP4の発現のタイミングや発現部位の違いにより左右されることを報告している。

これらの結果は、適応による生物の形態の変化の研究に新しい道筋を与えるものである。
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# by saru3toru | 2004-09-03 09:37 | 科学情報

高血圧治療薬の投与、心不全患者に有効 武田薬品が発表

 高血圧症の治療薬として使われている「カンデサルタン・シレキセチル」(商品名「ブロプレス」など)について、武田薬品工業は31日、心機能が低下した慢性心不全患者にも有効なことがわかったと発表した。欧米25カ国の患者約4600人に投与したところ、死亡率が12%下がったという。投与によって心不全が悪化して入院する人も減少した。

 臨床試験は99年から3年余りにわたり、慢性心不全の患者約7600人を対象に、この薬を使ったグループとそうでないグループで死亡率や入院率を調査。そのうち、左心室から血液を送り出す能力が健康な人の60%程度以下に低下した患者約4600人を分析した。心不全の悪化で入院するリスクも24%改善した。

 同社の説明では、全世界の人口の1~2%が慢性心不全になっているとみられる。8%が心不全とされる75歳以上の入院1年後の死亡率は30%を超えるという。

 「ブロプレス」は、アンジオテンシンII受容体拮抗作用を有する血圧低下剤として広く使われている。03年度の国内の売り上げは927億円で、同社によると、金額では国内で販売されている薬の中で3番目という。同社は、慢性心不全の治療にも使えるように厚生労働省に効能の追加を申請している。
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# by saru3toru | 2004-09-01 15:21 | 科学情報

独Rostock大、L-カルニチンの脂肪燃焼促進効果を確認

 独Rostock大のKlaus Wutzke教授らのグループは、L-カルニチン酒石酸塩を摂取すると脂肪酸の燃焼が促進されることをヒトで実験的に確認した。
 2002年に独Leipzig大のD.M.Muller教授らも同様の実験を行って効果を確認しているが、その際に試験に使われたのは純粋なL-カルニチンだった。一方、今回の実験で使われたのは酒石酸塩で、Lonza社(スイス)が主力商品として世界販売している商品と同じ化学形態である。

 Wutzke教授らは、炭素の安定同位体13Cを使ってラベルした脂肪酸をボランティア被験者に摂取させた後、それぞれの被験者についてカルニチン酒石酸塩を摂取させた場合と摂取させなかった場合の2つの条件で、呼気中のCO2中に含まれる13Cの濃度を測定した。被験者数は12人。

 実験の結果、カルニチンを摂取した場合には、呼気中から13Cが高い濃度で検出されることが確認された。カルニチン摂取14時間後には呼気中のCO2全体に対して、13Cを含むCO2の割合は19.3%となった。カルニチンを摂取していなかった場合の15.8%に対して22%増となった。今後、ロンザジャパンはやはり酒石酸塩をつかって、日本人を対象とした試験を行うことも検討している。

 厚生労働省が2003年に食薬区分を改定。それまで医薬品としての使用しか認められなかったL-カルニチンが食品素材として使用できるようになった。
 ロンザジャパンのカルニチンは、昨年7月の発売以来、ファンケルの健康食品「パーフェクトスリム」、ニチレイのタブレット「gootDiet!タブレット」、日清ファルマのドリンク「ルクヤン キューテンドリンク」「シェイプナビプラス」、アサヒ飲料の飲料「アサヒアミノダイエット」、宝酒造の飲料「ダズベリーダイエット燃焼サポート」などに採用されている。
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# by saru3toru | 2004-09-01 09:00 | 科学情報