体内時計遺伝子ネットワーク

 山之内製薬の創薬研究本部分子医学研究所と、理化学研究所の神戸研究所は1月24日、ほ乳類において体内時計を支える、遺伝子ネットワークの中核をなす仕組みを解明したことを発表した。

 体内時計は、体内に昼夜の時間的リズムを作り出す仕組みで、朝転写される遺伝子が9個、昼が7個、夜が6個の全16遺伝子が関わっていることが、これまでの研究で明らかになっていた。今回の研究で、それぞれの時間帯の遺伝子群が、単独で転写され働くのではなく、回路のような転写ネットワークを組み、お互いを制御しあっていることが、新たに分かったという。

 さらに、マウスとヒトでは、このシステムが完全に保存されているという。同じく体内時計の研究が盛んに行われている、シアノバクテリアとの比較について、「光合成をするシアノバクテリアと、ほ乳類との類似点はほとんど無く、全く異なるシステムを持っていることも分かった。系統をさかのぼって考えた場合、同じ祖先から体内時計システムを獲得したとは考えにくい」と、理研発生・再生科学総合研究センター、システムバイオロジー研究チームの上田泰己チームリーダーは話している。

 この研究と薬の関係について、山之内創薬研究本部分子医学研究所、ゲノム創薬研究室の橋本誠一主席研究員は、「薬がどの時間帯に一番効果があるのか、また副作用が少くて済む時間帯の有無、などを我々が理解するための、スタートラインに立ったと思う。さらに詳しく解明されれば、薬の処方で『投薬時刻』の要素も加わってくるのでは」と語った。

 今回の研究は、新エネルギー産業技術共同開発機構(NEDO)の、「細胞内ネットワークのダイナミズム解析技術開発」プロジェクトにて行われたもので、近畿大学や東京大学、産業技術総合研究所も協力している。また、この研究成果は、1月23日付のNature Geneticsオンライン版に掲載された。
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# by saru3toru | 2005-01-24 21:42 | 科学情報

ネズミが言語聞き分けた!?

 ネズミも、日本語とオランダ語を聞き分けられる!? スペインの研究チームがネズミの意外な能力を実験で証明し、米心理学会の専門誌に発表した。特別な訓練をした結果、人間とサル以外では初めて、異なる二つの言語を区別できるようになったという。言葉を獲得する基礎となる原始的な能力を、幅広い哺乳(ほにゅう)類が持っている可能性を示している。

 64匹のネズミを16匹ずつ4グループに分け、日本語とオランダ語の文章を(1)コンピューターの合成音声で流す(2)合成音声で逆さ読みする(3)それぞれを母国語とする複数の人物の声で流す(4)特定の1人の声で流す、の各条件で、日本語とオランダ語を聞き分けさせる訓練を繰り返した。どちらかの言語の時にレバーを押し下げると、エサが与えられる仕組みを使った。

 訓練で使っていない文章で実験した結果、通常の合成音声と特定の人物の声ならば、日本語とオランダ語を聞き分けることができた。リズムや抑揚を手がかりにしているらしい。言語の特徴が不明確になる逆さ読みと、複数の人物の声では聞き分けられなかった。

 こうした実験で同様の能力が実証されているのは、人間とタマリン(小型サルの一種)だけ。人間の赤ちゃんでは、複数の人物の声でも言語を聞き分けることが分かっているが、研究チームは「言語を使うのに必要な能力は、人間だけではなく複数の動物に備わっている」と説明している。
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# by saru3toru | 2005-01-11 21:01 | 科学情報

腸管内の微生物叢の変化がアレルギーのリスクに

 米ミシガン大学の研究によると、消化管(腸管)内の細菌および真菌による微生物叢が変化して免疫系の寛容と感作のバランスが崩れると、肺に吸入された一般的なアレルゲンに対する免疫系の反応が強まって慢性的な喘息やアレルギーの発症リスクが増加する可能性が示唆された。
 一般的には、免疫寛容は肺で生じると考えられているが、マウスを用いた先ごろの研究では、消化管内の免疫細胞が飲み込まれたアレルゲンに接触すると、その相互作用が誘因となって制御性T細胞が生じ、それが肺に移動して免疫寛容を引き起こすことが判明した。

 研究者で内科学、微生物学、免疫学准教授のGary Huffnagle氏は、肺が繰り返しアレルゲンに曝露すると、免疫系応答を調節する制御性T細胞が、そのようなアレルゲンを見逃しても安全なものと認識するようになる、と述べている。

 研究は、感染および免疫関連医学誌「Infection and Immunity」1月号に掲載されている。
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# by saru3toru | 2004-12-23 18:59 | 科学情報

ICGSC、ニワトリの野生種の全ゲノム解読に成功

 International Chicken Genome Sequence Consortium(ICGSI)は、ニワトリの野生種であるGallus gallusの全ゲノム解読に成功、Nature誌2004年12月9日号とGenome Research誌Online版で発表した。鳥類で全ゲノム解読が終了したのは、これが始めてだ。進化の謎を解く鍵となる他、養鶏業の技術革新にもつながる基盤となるだろう。
 ニワトリが属する鳥類は、ヒトなどの哺乳類と3億1000万年前に分岐して進化した。現在まで解明されたゲノムとしては、恒温動物で最もヒトから進化的に離れた動物のゲノムだ。78個の染色体から構成されるニワトリ・ゲノムの大きさは10億塩基、ヒトの3分の1に過ぎない。ヒト・ゲノムの約50%を占める繰り返し配列の割合が、ニワトリでは15%に過ぎないことが、小さいゲノム・サイズの第一の理由だ。
 ヒトとニワトリには全く共通のゲノム配列(時には、7000万塩基もの長い配列が類似)が、ゲノム上に分散して存在していた。たんぱく質をコーディングしている遺伝子の約60%がヒトとニワトリでは共通だった。詳細に遺伝子を比較したところ、ニワトリでは哺乳類から進化的に分岐した後、多数の遺伝子を失うことによって、進化したことが裏付けられた。進化は必ずしも、遺伝子が増えることが原動力となるとは限らない有力な証拠だ。但し、現在のところ、たんぱく質に読み取られない非コーディング領域の機能や研究も進んでおらず、鳥類の進化がゲノム配列を失うことによって、何故、環境に適応して進化(つまり、飛べるようになったのか)は謎のままである。あ
 ICGSCは、全世界49機関に所属する170人の研究者が参加した組織。米国国立衛生研究所が1300万ドルを助成し、米国Washington大学(St. Louis)のGenome Sequence Centerが塩基配列の解読を行った。
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# by saru3toru | 2004-12-09 22:51 | 科学情報

原人は長距離を走れた…米の研究チームが化石調査

 約200万年前にアフリカで進化を遂げた「原人」は長距離を走ることができる骨格を持ち、これが人類進化の原動力となった可能性の高いことが、米ハーバード大などの化石調査からわかった。
 長距離走のおかげで、原人は効率的に動物を狩ったり、倒れた動物の肉を集めたりでき、アフリカの草原で優位に立ったらしい。18日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
 約700―600万年前に生まれた初期人類の猿人に比べ、原人は足の長さが1・5倍になるなど、長距離の移動が効率化したと考えられている。ただ、原人が長距離を歩いていたのか、走っていたのかはこれまで詳しく研究されてこなかった。
 歩行に比べ走行では、地面から体に強い衝撃が加わる。研究チームは原人など数多くの化石を調べ、体軸を安定化させるための筋肉が付く骨の発達など、長距離を走るには欠かせない特徴が原人になって現れていることを突き止めた。
 アフリカで本格的に広がった草原に適応した原人が繁栄していく上で、長距離走が大きな役割を果たしたようだ。
 研究チームは「現代は健康維持や気分転換のために行われるジョギングだが、その起源は原人にまでさかのぼる」と話している。
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# by saru3toru | 2004-11-18 10:22 | 科学情報