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食欲抑える脳内物質が新たに確認された

 食欲を抑えて肥満を防ぐ役割を果たす物質が新たにわかった。この物質を体内で作れなくなったマウスは、餌を食べ過ぎて体重が大幅に増えてしまう。人間も同じ物質を持っており、肥満の解明や治療薬の開発につながる成果という。久留米大分子生命科学研究所の児島将康教授、花田礼子助手らがネイチャー・メディシンに発表した。

 この物質はニューロメジンU(NMU)と呼ばれ、アミノ酸が連なったペプチドの一種。

 NMUを作らないように遺伝子操作したマウスで実験したところ、生後32週の時点で正常なマウスに比べて平均体重が35%も重くなった。体の脂肪の割合も、正常で20%だったのが、52%に増えていた。餌を食べる量は正常より33%多く、血糖値や総コレステロール値も高くなり、人の生活習慣病に似た状態だった。

 肥満抑制物質としては約10年前に米国の研究者が見つけたレプチンが有名。やはり、食欲を抑える働きがある。京都大が糖尿病患者にレプチンを使う臨床研究をするなど世界中で研究が進んでいるが、レプチンが効きにくい患者もいて、実用化にはつながっていない。

 レプチンが脂肪細胞から分泌されるのに対し、NMUは脳内で働く神経ペプチドで、レプチンとは独立して作用する物質と考えられる。このため、レプチンとは別の治療法の開発に結びつく可能性があるという。
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by saru3toru | 2004-09-27 09:05 | 科学情報

蚊の幼虫の駆除に有用な標的蛋白質SCP-2を発見

 米国Wisconsin-Madison大学は、9月10日、マラリア、デング熱、ある種の脳炎、黄熱病、西ナイル熱などを媒介する蚊を駆除するための、新たな、より標的を定めた方法の開発において非常に有望な標的蛋白質、SCP-2を発見したと発表した
 通常、蚊の駆除には殺虫剤が用いられるが、殺虫剤は環境の他の生物にも害を与える可能性がある。蚊に特異的な殺虫法を捜していた、同大学の昆虫生理学者Que Lan氏らは、蚊のコレステロール代謝の特異性に注目した。コレステロールは、脊椎動物と非脊椎動物の細胞膜を構成する重要な成分だ。蚊は、発生、成長、卵形成にこれを必要とするが、ヒトとは異なり、コレステロール合成系を持たない。浅い水中で生活する幼虫期に、腐った植物を食べてフィトステロールを摂取する。フィトステロールは、蚊の腸でコレステロールに換わる。この過程を阻止すれば、ボウフラは死ぬはずだ。
 研究者たちは、ネッタイシマカ(Aedes asgypti)を用いて、コレステロールを蚊の細胞に運ぶために必須の蛋白質AeSCP-2を発見した。AeSCP-2は、ステロール運搬蛋白質で、疎水性のコレステロールを血液や細胞液などの液体中を運ぶ際にシールドとして機能する。この蛋白質の作用を阻害する蛋白質を捜すために、氏らは16000の化合物をスクリーニングし、SCP-2のコレステロール結合能力を阻害できる化合物を57個選出した。上位5つの化合物を蚊の幼虫に用いたところ、いずれも幼虫を殺すことができた。効果は用量に依存し、使用濃度が高ければより多くの幼虫が死んだ。が、その濃度は最高でも10ppmだった。氏らは現在、SCP-2阻害化合物の、多様な昆虫や脊椎動物に対する作用を調べている。マウスの細胞を対象とした場合には、5つの化合物のうち3つは無毒で、残りの2つもわずかな毒性しか持っていなかったという。さらに、ハエ、ゴキブリ、シロアリ等の害虫を対象とする評価も行っている。環境試験や分解試験はこれから行われるが、残留時間が2-3週と短いものが理想だと氏はいう。
 氏は「耐性昆虫の出現や他の生物への影響を防ぐためには、1種類の昆虫にのみ有効で、効果が短期間で消える化合物を捜し出すことが重要だ」と述べた。
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by saru3toru | 2004-09-17 10:22 | 科学情報

好酸球がぜんそく治療のターゲット

 米Mayo Clinicの研究者を中心とした研究グループと米Harvard Medical Schoolの研究グループは、それぞれ好酸球を欠損させたマウスを用いた実験で、抗酸球がぜんそくで重要な役割を果たしていることを示した。
 好酸球がぜんそく患者の気道に多く存在することや、アレルゲンによる呼吸器炎症を引き起こす動物モデルで、好酸球が気道に誘導される実験などから、好酸球がぜんそくに関与していることは示唆されていたが、臨床試験結果やマウスのぜんそくモデルからは、好酸球のぜんそくにおける機能は明確にはされていなかった。今回示された動物実験の結果は、改めて、好酸球を標的にしたぜんそく薬の可能性を示したことになる。成果は、Science誌9月17日号に掲載された。

 Mayo Clinicの研究グループは、好酸球遺伝子をノックアウトしたマウスを作製、アレルゲンとしてオボアルブミンを投与した。 その結果、ノックアウト・マウスでは、気道に過敏症や粘液の過剰分泌といったぜんそくの症状が起こらず、これらの反応に抗酸球が不可欠であることが確認された。

 一方、Harvard Medical Schoolのグループは、Mayoとは別の系統のマウスで、好酸球の機能をなくしたマウスを利用し、同様にオボアルブミンを投与して、反応を調べた。GATA-1プロモーターのGATA領域に対する高い親和性をなくすことで、好酸球を欠除させたマウスを利用した。実験の結果、気道の過敏症、粘液の分泌は野生型と同様に起こったものの、気道のリモデリングは起こらなかった。つまり、好酸球は気道のリモデリングには関係するが、アレルゲンによる肺機能の低下には必須ではないことになる。
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by saru3toru | 2004-09-17 10:19 | 科学情報

恐竜が子育て中? 中国で親子密集化石

b0013356_947916.jpg 恐竜の成体1匹と子ども34匹が密集している化石が、中国・遼寧省西部で発見された。詳しく調べた米中などの研究チームは、親が巣で子育てをしていた現場の可能性が高いとみている。9日付の英科学誌ネイチャーに発表された。

 化石は白亜紀前期(1億3000万年前ごろ)の地層から03年に見つかった。小型草食恐竜プシッタコサウルスの仲間で、計35匹の化石が0.5平方メートルの範囲に集まっていた。子どもはいずれもほぼ同じ大きさで、腹ばいにうずくまって頭を少し上げる姿勢だったことなどから、研究チームは、別々に暮らしていた恐竜が死後に流されて1カ所に集まったのでなく、巣にいた親子がそのまま生き埋めになったと推測している。
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by saru3toru | 2004-09-09 09:47 | 科学情報

Smacと同じ働きをしてがん細胞を殺す低分子化合物

 University of TxasのHarranらは、がん細胞をより選択的に殺すことのできる低分子化合物を見出した。

 体内で細胞は必要に応じて自ら死ぬことを命じられる。しかし、細胞の細胞質にはInhibitor of apoptosis proteinという蛋白質があり、細胞がアポトーシスを起こしてむやみに死んでしまうのを防いでいる。アポトーシスが必要とされるときには外からのシグナルに応じてミトコンドリアからSmacと呼ばれる蛋白質が放出され、SmacはIAPと結合することによりIAPの機能を阻害し、アポトーシスが誘導される。

 HarranらはこのSmacと同じ機能を有する低分子化合物をスクリーニングにより見出し、それが実際にがん細胞のアポトーシスを引き起こすことを明らかにした。
 これはこれまでの抗がん剤にはないメカニズムであり、よりがん細胞に特異的に作用する可能性があり、副作用の少ない抗がん剤の発見に結びつく可能性がある。

 この結果は9月3日のサイエンスに報告された。
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by saru3toru | 2004-09-07 09:25 | 科学情報

皮膚に存在する幹細胞を使って毛髪再生

 ロックフェラー大学のFuchsらは、大人のマウスの皮膚から幹細胞を単離し、単一の幹細胞から多種類の上皮系細胞が分化することを見出した。また、幹細胞由来の細胞をヌードマウスの皮膚に移植することにより、通常のマウスと同様に毛の生えた皮膚を作り出すことに成功した。
 この結果は人間でも自分の皮膚から幹細胞を単離し、それを正常な皮膚になる細胞へと実験室で分化させることにより、ハゲの治療や火傷の治療などに応用できる可能性をを示すものである。
 さらに幹細胞を利用することにより他の組織の上皮系の細胞、たとえば目の角膜や歯のエナメルなどを再生させることも可能であるかもしれない。
 この結果は2004年、9月3日号のCellに報告された。
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by saru3toru | 2004-09-07 09:07 | 科学情報

猿人:600万年前に二足歩行 骨のCT分析で判明

 約600万年前にいた人類の祖先の猿人は、すでに二足歩行していたことがコンピューター断層撮影(CT)による骨の化石の分析で判明したと、米仏の共同研究チームが3日付の米科学誌「サイエンス」に発表した。これまで確実に二足歩行をしていたと考えられているのは約400万年前の猿人で、人類の最大の特徴である二足歩行の歴史が一気に200万年もさかのぼることになり、人類史研究に大きな影響を及ぼしそうだ。

 600万年前の猿人は「オロリン・ツゲネンシス」と呼ばれ、2000年にケニア北西部で化石が発掘された。大たい骨がほぼ無傷で残っており、発掘当時から、外見的な特徴に基づき「二足歩行していたのではないか」と推定されていた。

 研究グループは、股関節につながる大たい骨のくびれた部分の内部構造をCTで詳しく調べた。その結果、骨の表層部が上側だけ薄くなっていることが分かった。これは樹上生活するチンパンジーなどとは異なり、直立二足歩行する人類と同じ構造だった。骨のほかの部分の形状も、類人猿よりは人類に近かった。

 研究グループは「分析結果は二足歩行の直接証拠を示している」と述べている。

 これまで、二足歩行が確実とされる最古の猿人は約400万年前にアフリカにいた「アウストラロピテクス・アナメンシス」だった。約600万年前は人類と類人猿が分岐した初期の時期と考えられている。
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by saru3toru | 2004-09-03 10:21 | 科学情報

「失読症」、英語圏と漢字圏で原因部位に差

b0013356_1003471.jpg 脳卒中などで文字が読めなくなる「失読症」は、アルファベットを使う西洋人と漢字を使う中国人や日本人では、脳の損傷部位が違うことが、香港大の研究で分かった。

 文化に合わせた治療法の必要性を示した結果で、2日付の英科学誌ネイチャーに発表された。

 欧米を中心としたこれまでの研究では、失読症の人は、文字のつづりを音の固まりに分ける過程に障害があり、左脳の「頭頂葉」や「側頭葉」などでの神経活動の低さが原因と考えられてきた。しかし、香港大のリ・ハイ・タン助教授らが、先天的に失読症である中国人の子ども8人の脳を、磁気共鳴画像装置を使って調べたところ、左脳の「中前頭回」という西洋人とは別の部位の活動性が低いなど、これまでの実験結果とは大きく異なることが分かった。
 左の図の中で、中国語、英語の理解にはそれぞれ赤い部分、緑の部分が使われ、失読症の中国人では青い部分の働きが特に活発になっているということである。

 文字自体は意味を持たない表音文字のアルファベットを使う言語と、表意文字の漢字では、脳での読み方の仕組みが異なるらしい。研究チームは「理という漢字のなかに読み方を表す里が入っているなど、漢字の読み書きの仕組みは英語などとは大きく違う。文化に即した治療法の開発などにつながるのではないか」としている。
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by saru3toru | 2004-09-03 10:07 | 科学情報

Darwin's finchesとBMP4

b0013356_9364165.jpg ダーウィンのフィンチは、生態的地位への適応により新しい動物種が生まれることの好例としてあげられているが、発生生物学者はそこに新しい展開をもたらした。

 チャールズ・ダーウィンは1835年にガラパゴス諸島を旅した際に、そこでは鳥の嘴のサイズや形に多くの変異があり、それが植物の種を砕いたり、果汁を飲んだりという特殊な仕事に適応した結果であると考え、適応により動物は進化するという考えを「種の起源」に記した。

 Harvard Medical Schoolの発生生物学者であるClifford Tabinは、太くて短い嘴を持つフィンチ3種と、細長い嘴を持つフィンチ3種の卵を用いて、発生に伴う遺伝子発現変動を、細胞増殖因子10種について調べた。その結果、Bone morphogenic protein 4 (BMP4)という増殖因子のみがそれら3種ずつで発現に大きな違いがあることが明らかになった。嘴の太いフィンチは、BMP4の発現が顕著であったが、3種のなかでも発現のパタンには違いがあるらしい。この結果はサイエンス9月3日号に発表された

 また同じ号のサイエンスに、University of Southern California の進化発生生物学者であるCheng-Ming Chuongは、ニワトリの嘴の形がBMP4の発現のタイミングや発現部位の違いにより左右されることを報告している。

これらの結果は、適応による生物の形態の変化の研究に新しい道筋を与えるものである。
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by saru3toru | 2004-09-03 09:37 | 科学情報

高血圧治療薬の投与、心不全患者に有効 武田薬品が発表

 高血圧症の治療薬として使われている「カンデサルタン・シレキセチル」(商品名「ブロプレス」など)について、武田薬品工業は31日、心機能が低下した慢性心不全患者にも有効なことがわかったと発表した。欧米25カ国の患者約4600人に投与したところ、死亡率が12%下がったという。投与によって心不全が悪化して入院する人も減少した。

 臨床試験は99年から3年余りにわたり、慢性心不全の患者約7600人を対象に、この薬を使ったグループとそうでないグループで死亡率や入院率を調査。そのうち、左心室から血液を送り出す能力が健康な人の60%程度以下に低下した患者約4600人を分析した。心不全の悪化で入院するリスクも24%改善した。

 同社の説明では、全世界の人口の1~2%が慢性心不全になっているとみられる。8%が心不全とされる75歳以上の入院1年後の死亡率は30%を超えるという。

 「ブロプレス」は、アンジオテンシンII受容体拮抗作用を有する血圧低下剤として広く使われている。03年度の国内の売り上げは927億円で、同社によると、金額では国内で販売されている薬の中で3番目という。同社は、慢性心不全の治療にも使えるように厚生労働省に効能の追加を申請している。
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by saru3toru | 2004-09-01 15:21 | 科学情報