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心臓発作は九つの要因で予測できる

 世界規模の研究により、ほとんどの心臓発作は住んでいる地域や人種によらず、簡単に測定できる九つの因子により予測できるということが報告された。
 今回の結果は心臓発作がこれまで想像されていた以上の確率で予測できることを示したという点で画期的な結果である。全世界で年間に1千万人以上が心疾患が原因で死亡しているが、危険因子を減らすことにより予防が可能で、心疾患の発生数を大きく減少させることのできる可能性が示された。

 カナダの研究者らが中心となったINTERHEARTという今回の研究は、52ヶ国、二万九千人を対象にしたものであるが、その結果がドイツ、ミュンヘンで開催されたヨーロッパ心臓学会で報告された。また2004年9月11日号のThe Lancetに論文が掲載される。
 特に重要な二つの危険因子は、喫煙と、脂質バランス(apo B/apo A-1)の異常であり、この二つで心臓発作のリスクの三分の二を予測できるということである。またその他の危険因子は、高血圧糖尿病腹部肥満ストレス野菜と果物の不足運動不足であるが、逆に毎日の少量のアルコール摂取は予防因子となる。全世界の90パーセントの心臓発作がこの九つの因子の有無で予測できるらしい。
 禁煙、正しい食物の摂取、運動などはすぐにでも改善できることであり、それだけでもかなりのリスクを回避できることになるはずである。
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by saru3toru | 2004-08-30 12:03 | 科学情報

小児の18%に耐性ウイルス=抗インフルエンザ薬タミフル

 抗インフルエンザ薬タミフル(リン酸オセルタミビル)を使用した小児患者の18%から、同剤に耐性を持つウイルスが検出されたことが、東大医科学研究所などの研究で分かった。論文は28日付の英科学誌ランセットに掲載される。
 タミフルは耐性ウイルスが出にくいとされ、厚生労働省は新型インフルエンザに備え2500万人分を確保する方針を決めている。同研究所の河岡義裕教授は「インフルエンザにかかったことのない子供は免疫がないためウイルスが増えやすく、耐性が出やすい。新型はだれも免疫がないので大人でも同じ。よく監視し耐性ウイルスが出たか確認しながら使う必要がある」としている。 
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by saru3toru | 2004-08-27 10:34 | 科学情報

クレアチンの抗疲労効果を証明、慢性疲労症候群に応用へ

 米Temple大学は、8月23日、クレアチンの経口摂取により、ヒト筋肉内のミトコンドリアの呼吸が活性化されることをin vivoで示したと発表した。慢性疲労性症候群(CFS)の研究に取り組んできた研究者たちは、今回の発見が、CSFに対する治療法開発に結びつく可能性があると期待している。詳細は、Applied Physiology誌6月号に報告された。
 クレアチンは、薬局で購入できる一般的なサプリメントとして、多くのスポーツ選手に利用されている。摂取により、筋量を増し運動能力を高めることができると考えられている。論文の筆頭著者で、同大学で作業療法の助教授を務めるSinclair Smith氏らは、クレアチンが、CSF患者に見られる、極度の肉体的および精神的疲労の緩和にも役立つのではないかと考えた。

 今回、同大学と、米陸軍環境医学研究所、米国Brigham and Women’s Hospital、米Harvard大学医学部、米Boston大学、米Sargent健康・リハビリ科学大学の研究者たちは、16人の成人男女に、クレアチンまたは偽薬を経口投与し、運動時と休息時の筋肉における呼吸代謝の速度の変化をMRI技術を用いて評価した。先の実験では、動物とヒトの筋標本を用いて、同様の作用が調べられたが、今回初めて、ヒト体内でこれを評価することに成功した。
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by saru3toru | 2004-08-27 10:12 | 科学情報

善玉コレステロールを悪玉に変える酵素が心疾患に関与

 高密度リポ蛋白質(HDL)はコレステロールの中でも善玉コレステロールと言われ、HDLが血中に多くあるほうが動脈硬化になりにくいとされているが、実は心血管疾患(CVD)を発症している患者ではHDLの半分ほどが、ある酵素により修飾を受け、善玉コレステロールとしての機能を失っていることが明らかになった。

 Cleveland ClinicのStanley Hazenらは昨年、CVDを予測するマーカーとしてこれまでに使われているどんなマーカーよりすぐれたマーカーとして、ミエロパーオキシダーゼ(MPO)という酵素とMPOにより生じるニトロチロシン化された蛋白質を見出している。
 今回、彼らはMPOにより特に修飾を受け易い蛋白質を探索した結果、HDLの主要蛋白質であるアポリポ蛋白質A-1(apoA-1)が、MPOによりニトロ化、クロル化を受け易いことを発見した。彼らはさらに90人の患者血清中のapoA-1の修飾を調査し、高度に修飾されたapoA-1はCVDを発症した患者に16倍も高い確率で存在することを見出した。
 また、修飾を受けたHDLは、本来の善玉コレステロールとしての役割である動脈硬化部位からのコレステロールの引き抜きという活性を失っているということである。
 今回の発見は、HDLが高くても必ずしもCVDを発症しにくいわけでないということを説明するものであり、MPOによるHDLの修飾を阻害する薬剤は、動脈硬化、CVDの発症を抑制することが期待される。

Original paper
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by saru3toru | 2004-08-27 10:03 | 科学情報

双日ジーエムシー、動脈硬化測定装置を販売

 双日子会社で生活用品などを販売する双日ジーエムシー(東京・港、筒井和彦社長)は25日、医療機器メーカーのオサチ(長野県岡谷市、小松勝社長)が開発した動脈硬化測定装置の販売を始めると発表した。9月から一般家庭向けに通信販売で売り出す。双日ジーエムシーは健康関連商品の取り扱いを増やしており今回もその一環。
 販売する「バイタルビジョン」は血圧や心拍数の測定と同時に、動脈血管の硬化度も測れる装置。脈波のパターンから血管の硬化度を推定する仕組みで、硬さの度合いを4段階で表示し、過去30回分の測定値を記録できる。

 動脈硬化は心筋こうそくや脳卒中などにつながる可能性があり早期発見が重要とされる。双日は家庭で手軽に測定できる装置の需要は大きいとみて拡販に乗り出す。9月にカタログハウス(東京・渋谷)が発売する通販雑誌「通販生活」に掲載して売り出す。価格は3万1290円。初年度1万台の販売を目指す。
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by saru3toru | 2004-08-26 10:27 | 科学情報

注意欠陥多動性障害の原因は内分泌かく乱物質?

 産業技術総合研究所ヒューマンストレスシグナル研究センターと国立環境研究所は、生後5日目に脳内にビスフェノールAなどの内分泌かく乱化学物質を投与されたラットは、4、5週齢に成長した時に通常のラットに比べて行動に落ち着きがなくなることを確認した。ラットの4、5週齢は、人間では小学生程度の時期に当たるという。

 ヒトでは、行動の落ち着きのなさ(多動性)を示す疾患として、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症などの広汎性発達障害(PDD)がある。これらの疾患の患者にドーパミンの神経への取り込みを阻害する作用を持つリタリンを投与すると、多動傾向を抑制できることが知られている。そこで研究チームは、ドーパミン神経の発達に化学物質が及ぼす影響に注目して研究を進めた。

 ビスフェノールA、0.2マイクログラムを生後5日目のラット(体重約10g)に投与したところ、ラットは4から5週齢に成長した時に、投与しないラットに比べ自発運動が増えて落ち着きがなくなっていた。他のフェノール類、フタル酸エステル類の化合物を投与した場合にも多動の傾向が見られた。組織学的解析によると、ビスフェノールA、ノニルフェノール、p-オクチルフェノール、フタル酸ジブチルにドーパミン神経の発達阻害作用があることが分かった。

 これらの化学物質による脳での遺伝子発現を解析したところ、各化学物質で発現パターンは異なっていたが、8週齢のラットで、ドーパミン・トランスポーター1遺伝子とドーパミン受容体D4遺伝子の発現が上昇していた。ヒトADHD患者脳でも、これらの遺伝子の発現亢進が認められており、内分泌かく乱化学物質を注射されたラットと、ADHDの患者は分子レベルで類似している可能性がある。

 今回の結果は、母乳や食事に含まれる内分泌かく乱物質が脳神経の発達に悪影響を及ぼす可能性を示すものであるが、今後、産総研、環境研では、環境庁で「内分泌かく乱作用を有すると疑われる」とされた化学物質67種類の化合物全てについて、脳神経への作用を調べることを計画している。
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by saru3toru | 2004-08-26 09:08 | 科学情報

持久力2倍マラソンマウス 米韓が遺伝子操作で作製

 脂肪の燃焼にかかわる、あるタンパク質(PPAR-delta)の働きを遺伝子操作で高め、通常の2倍の距離を走り、しかも太りにくい“マラソンマウス”を誕生させることに成功したと、米ソーク研究所(カリフォルニア州)と韓国ソウル国立大のチームが23日、発表した。
 このタンパク質の機能を薬で高めることも可能とされ、飲むだけで運動をしたのと同じ効果が得られる薬の開発につながる成果だという。しかし、そんな薬ができたらきっとスポーツ選手の運動機能増強に悪用されるに違いない。でも、もしもその薬を使ったら、一回の大会で、筋肉はぼろぼろになって選手生命は断たれるだろうけど…。
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by saru3toru | 2004-08-24 13:21 | 科学情報

文科省、民間企業で初めて国産ES細胞使用の研究を承認

 京都大学再生医科学研究所が樹立したヒト胚性幹細胞(ES細胞)株を、田辺製薬が研究に利用することにゴーサインが出た。8月23日の文部科学省科学技術・学術審議会の生命倫理・安全部会特定胚及びヒトES細胞研究専門委員会で、追加申請が認められた。
 田辺製薬は、京都大学との共同研究で既に国の承認を得、オーストラリアMonash大学のヒトES細胞株を用いて、血管発生・分化機構の研究を進めている。国産のES細胞株を、企業が研究に用いるのは田辺製薬が初めてということである。
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by saru3toru | 2004-08-24 09:10 | 科学情報

トリインフルエンザのブタへの感染

b0013356_965852.jpgトリインフルエンザウイルスは既にアジアで2億羽以上の鳥を殺し、25人以上の犠牲者を出している。20日、北京で開かれた鳥インフルエンザ対策などに関する国際シンポジウムで中国農業省のChen Hualanは、2003年と2004年に中国のいくつかの農場で、高病原性のH5N1型ウイルスがブタに感染していることが確認されていることを報告した。
ブタはヒトインフルエンザにも感染することができるため、もしもブタがヒトインフルエンザウイルスとH5N1型トリインフルエンザウイルスに同時に感染すると、ブタの体内でウイルス遺伝子の組換えが起こり、ヒトに感染力がありH5N1型と同様の高病原性を持つインフルエンザウイルスが生み出される可能性がある。
もしかすると、トリインフルエンザがヒトの間で流行する日は思っているより近いのかもしれない。
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by saru3toru | 2004-08-24 09:05 | 科学情報

乳酸は運動に必要

 一般に、強い運動を続けると筋肉に乳酸がたまり、その結果筋肉に痛みを感じたり筋肉がつったりすると考えられている。
しかし、デンマーク、University of AarhusのOle Nielsenらは、乳酸は逆に筋肉が疲労して働けなくなるのを防ぐ役割があるという実験結果をサイエンスに報告した。
 強い収縮を繰り返すことにより、もともとは細胞内に高濃度に存在するカリウムイオンが細胞外に流出する。カリウムイオンが細胞外に流出すると筋肉の収縮能が低下するが、乳酸はこのカリウムイオン流出による収縮能の低下を抑える働きがあるらしい。
 運動選手が最高の運動能を発揮するのにウォーミングアップが必要なのは、ウォーミングアップにより筋肉に乳酸が蓄積することによるのかもしれない。
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by saru3toru | 2004-08-23 08:50 | 科学情報