エストロゲン阻害剤との併用でイレッサの有効性上昇

 米Pittsburgh大学は、2月15日、肺がん細胞がエストロゲンに反応して増殖することを示し、エストロゲン経路をブロックすれば、肺がん患者の生存率が向上する可能性が示唆されたと発表した。詳細は2本の論文として、Cancer Research誌2月15日号に報告された。
 同大学がん研究所で肺・胸部悪性腫瘍プログラムを率いるJil Siegfried氏らは、先の研究で、肺がん細胞が、乳がん細胞に見られると同レベルのエストロゲン受容体(ER)を発現していることを発見した。この知見を基に、同大学薬学部のLaura Stabile氏らは今回、マウスに移植したヒト肺がん組織を対象に、エストロゲンの作用を阻止する実験を行った。ER経路の阻害には、ER陽性乳がん患者を対象に臨床開発が進んでいる「Faslodex」(fulvestrant)を用いた。また、肺がん治療に用いられている、EGFR経路を標的とする「Iressa」(gefitinib、日本商品名「イレッサ」)を併用し、腫瘍縮小効果を比較した。

 その結果、それぞれ単独で用いた場合の腫瘍の縮小率は、「Iressa」のみだと49%、「Faslodex」のみでは32%だったが、併用により59%になった。また、併用群では、残存している腫瘍の中の細胞の多くが、死にかけてるか、または死んでいた。単独投与群では、腫瘍内のそうした細胞の割合は有意に少なかった。これらの結果は、ERとEGFRを標的とする治療薬の組み合わせにより、単独投与に比べて、高い抗ガン効果が得られることを示した。既に、進行した肺がんの女性患者を対象に、予備的な臨床試験が行われている。

 2番目の研究は、やはり同大学薬学部の助教授Pamela Hershberger氏らによって行われた。氏らは、エストロゲンが肺がん細胞の遺伝子発現に及ぼす影響をマイクロアレイを用いて解析した。その結果、肺がんでも、乳がん細胞がエストロゲンに反応したときに発現されると同じ成長遺伝子の発現が上昇していた。また、「Faslodex」で処理すると、エストロゲンのそれらの遺伝子に対する影響はうち消された。以上の結果は、ER経路を介した乳がん増殖に関わる蛋白質が、肺がんの増殖にも関与することを示す。
 Siegfried氏は「エストロゲン経路を阻止する治療薬の併用で、患者の生存率の向上が期待できる」と述べた。
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by saru3toru | 2005-02-22 21:24 | 科学情報
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