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Smacと同じ働きをしてがん細胞を殺す低分子化合物

 University of TxasのHarranらは、がん細胞をより選択的に殺すことのできる低分子化合物を見出した。

 体内で細胞は必要に応じて自ら死ぬことを命じられる。しかし、細胞の細胞質にはInhibitor of apoptosis proteinという蛋白質があり、細胞がアポトーシスを起こしてむやみに死んでしまうのを防いでいる。アポトーシスが必要とされるときには外からのシグナルに応じてミトコンドリアからSmacと呼ばれる蛋白質が放出され、SmacはIAPと結合することによりIAPの機能を阻害し、アポトーシスが誘導される。

 HarranらはこのSmacと同じ機能を有する低分子化合物をスクリーニングにより見出し、それが実際にがん細胞のアポトーシスを引き起こすことを明らかにした。
 これはこれまでの抗がん剤にはないメカニズムであり、よりがん細胞に特異的に作用する可能性があり、副作用の少ない抗がん剤の発見に結びつく可能性がある。

 この結果は9月3日のサイエンスに報告された。
by saru3toru | 2004-09-07 09:25 | 科学情報
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