Manchester大学とLondon大学、メラノプシンが光色素であることを確認

 英国Manchester大学と英国London大学の研究者たちは、1月27日、ヒト・メラノプシン遺伝子をマウスの神経系細胞株に導入、光感受性を与えることに成功したと発表した。得られた知見は、失明に対する全く新しい治療法の開発に結びつく可能性がある。詳細は、Nature誌電子版に1月27日に報告された。
 Manchester大学のグループを率いたRob Lucas氏はこれまで、概日周期の研究に取り組んできた。「視覚の研究は、網膜に存在する、桿体細胞と錐体細胞という光受容器を対象に行われてきた。しかしわれわれは、先頃、メラノプシンが第3の光受容器であることを示唆する結果を得た」と氏は説明した。氏らは先に、哺乳類の網膜のガングリオン細胞の一部が、特定の非イメージ形成応答を制御する光受容器として機能していること、この特殊な光感受細胞はメラノプシンを発現していること、メラノプシン遺伝子が機能しなくなるとこれらの細胞は光感受性を失うことを発見した。が、細胞の光感受性におけるメラノプシンの正確な役割は明らかではなかった。
 そこで今回、氏らは、ヒト・メラノプシンをマウスの神経系培養細胞株Neuro-2aに発現させたところ、それらの細胞は光感受性を得た。単一遺伝子を活性化すれば機能する光受容細胞が作製できるというのは、驚くべき発見だ。この条件下では、メラノプシンは、光色素として機能しており、G蛋白質を介したイオン・チャンネルの開閉を通じて生理的な光検出を行っていた。メラノプシンによる光応答は、cis-retinaldehydeを必要とし、短波長の光に選択的に反応することも明らかになった。
 Lucus氏らは、メラノプシンの機能の欠陥は、ある種の鬱や不眠症にも関わっていると考えている。氏は「われわれは今回、この遺伝子の役割を理解した。さらに研究を進めれば、気分や睡眠パターンへの影響を知ることもできるだろう」と述べた。
 これまで、失明に対する治療法の開発をめざす研究者たちは、桿体細胞と錐体細胞の機能を失った人々を前に苦闘してきた。今回得られた知見は、メラノプシンを利用すれば、目の中にある神経細胞に光感受性を与えられることを示唆し、失明治療に全く新しいアプローチを提供すると期待される。
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by saru3toru | 2005-01-31 21:24 | 科学情報
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