善玉コレステロールを悪玉に変える酵素が心疾患に関与

 高密度リポ蛋白質(HDL)はコレステロールの中でも善玉コレステロールと言われ、HDLが血中に多くあるほうが動脈硬化になりにくいとされているが、実は心血管疾患(CVD)を発症している患者ではHDLの半分ほどが、ある酵素により修飾を受け、善玉コレステロールとしての機能を失っていることが明らかになった。

 Cleveland ClinicのStanley Hazenらは昨年、CVDを予測するマーカーとしてこれまでに使われているどんなマーカーよりすぐれたマーカーとして、ミエロパーオキシダーゼ(MPO)という酵素とMPOにより生じるニトロチロシン化された蛋白質を見出している。
 今回、彼らはMPOにより特に修飾を受け易い蛋白質を探索した結果、HDLの主要蛋白質であるアポリポ蛋白質A-1(apoA-1)が、MPOによりニトロ化、クロル化を受け易いことを発見した。彼らはさらに90人の患者血清中のapoA-1の修飾を調査し、高度に修飾されたapoA-1はCVDを発症した患者に16倍も高い確率で存在することを見出した。
 また、修飾を受けたHDLは、本来の善玉コレステロールとしての役割である動脈硬化部位からのコレステロールの引き抜きという活性を失っているということである。
 今回の発見は、HDLが高くても必ずしもCVDを発症しにくいわけでないということを説明するものであり、MPOによるHDLの修飾を阻害する薬剤は、動脈硬化、CVDの発症を抑制することが期待される。

Original paper
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by saru3toru | 2004-08-27 10:03 | 科学情報
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