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インフルエンザ脳症・ライ症候群関連・感受性遺伝子を同定

インフルエンザ脳症と、インフルエンザや水痘に罹患した小児にアスピリンなどの解熱剤を服用させたときに生じるライ症候群の感受性遺伝子の同定に、徳島大学分子酵素学研究センターと大塚製薬NBC遺伝子解析センターのグループが成功し、近く論文発表する。またその内容は2月28日に東京で開かれる「ウイルス感染とその戦略的防御」公開シンポジウムで発表される予定である。

木戸教授は「インフルエンザ脳炎・脳症の感受性にかかわる遺伝子多型の解析研究」の結果、「インフルエンザ脳症とライ症候群が多くの点から考えて、同じ原因から発症していることが明らかになった」と述べた。木戸教授はダイヤモンドコーティングの高度集積DNAチップやたんぱく質チップを開発しており、「同定した感受性遺伝子を検出する血液検査薬の開発に応用したい」と考えている。

ライ症候群はインフルエンザや水痘にかかり、高熱を出している小児にアスピリンやボルタレンなどの解熱剤を服用させたときに現れる症状。嘔吐や意識障害、肝臓障害や低血糖が起こる死亡することも珍しくない。日本国内では年間40人の小児が死亡していることから、インフルエンザや水痘が疑われる15歳未満の小児には、アスピリンの処方(医師が患者に服用を指示すること)が禁忌となっている。感受性遺伝子が明らかになれば、こうした死亡する小児を減らすことができるはずだ。
# by saru3toru | 2005-02-22 21:25 | 科学情報

エストロゲン阻害剤との併用でイレッサの有効性上昇

 米Pittsburgh大学は、2月15日、肺がん細胞がエストロゲンに反応して増殖することを示し、エストロゲン経路をブロックすれば、肺がん患者の生存率が向上する可能性が示唆されたと発表した。詳細は2本の論文として、Cancer Research誌2月15日号に報告された。
 同大学がん研究所で肺・胸部悪性腫瘍プログラムを率いるJil Siegfried氏らは、先の研究で、肺がん細胞が、乳がん細胞に見られると同レベルのエストロゲン受容体(ER)を発現していることを発見した。この知見を基に、同大学薬学部のLaura Stabile氏らは今回、マウスに移植したヒト肺がん組織を対象に、エストロゲンの作用を阻止する実験を行った。ER経路の阻害には、ER陽性乳がん患者を対象に臨床開発が進んでいる「Faslodex」(fulvestrant)を用いた。また、肺がん治療に用いられている、EGFR経路を標的とする「Iressa」(gefitinib、日本商品名「イレッサ」)を併用し、腫瘍縮小効果を比較した。

 その結果、それぞれ単独で用いた場合の腫瘍の縮小率は、「Iressa」のみだと49%、「Faslodex」のみでは32%だったが、併用により59%になった。また、併用群では、残存している腫瘍の中の細胞の多くが、死にかけてるか、または死んでいた。単独投与群では、腫瘍内のそうした細胞の割合は有意に少なかった。これらの結果は、ERとEGFRを標的とする治療薬の組み合わせにより、単独投与に比べて、高い抗ガン効果が得られることを示した。既に、進行した肺がんの女性患者を対象に、予備的な臨床試験が行われている。

 2番目の研究は、やはり同大学薬学部の助教授Pamela Hershberger氏らによって行われた。氏らは、エストロゲンが肺がん細胞の遺伝子発現に及ぼす影響をマイクロアレイを用いて解析した。その結果、肺がんでも、乳がん細胞がエストロゲンに反応したときに発現されると同じ成長遺伝子の発現が上昇していた。また、「Faslodex」で処理すると、エストロゲンのそれらの遺伝子に対する影響はうち消された。以上の結果は、ER経路を介した乳がん増殖に関わる蛋白質が、肺がんの増殖にも関与することを示す。
 Siegfried氏は「エストロゲン経路を阻止する治療薬の併用で、患者の生存率の向上が期待できる」と述べた。
# by saru3toru | 2005-02-22 21:24 | 科学情報

体によくないハンバーガー、分子レベルで理由解明

 医学関連誌「Cell」1月28日号に掲載された米ハーバード大学ダナ・ファーバー癌研究所の研究では、飽和脂肪酸およびトランス脂肪酸といった悪性脂肪を動脈閉塞の原因となるLDL(悪玉)コレステロールに変換する分子スイッチが発見され、米国で人気のハンバーガーや揚げ物が体によくない理由が分子的に解明された。
 この分子は、コアクチベータに分類されるPGC-1β(ベータ)で、肝代謝に関与する。肉、乳製品など心臓専門医が体に悪いとする食物に含まれる悪性脂肪が肝臓に達すると、PGC-1βが生化学シグナルのカスケードを開始させ、それによって肝細胞が他の閉塞物質ファミリーのトリグリセリド(中性脂肪)と同様に動脈を閉塞させるLDLコレステロールを産生する。

 研究者でハーバード大学医学部の細胞生物学教授Bruce Spiegelman氏によると、この発見は自然淘汰の別の例を示しており、従来ヒトには害でなかったPGC-1βが、寿命が延びたために有害となり、その作用が治療の標的となっている。PGC-1β活性を阻害する化合物を開発すれば、現在のレジメン(処方計画)で治療できない人に対して新規のコレステロール低下療法を提供できる可能性がある。

 しかし、いくつかの知見には追跡研究が必要である、と米小児病院オークランド研究センターのアテローム性動脈硬化症研究責任者Ronald Krauss博士は指摘する。たとえば、ヒトでは、脂肪の豊富な食品摂取が細胞上のLDLコレステロール受容体活性を抑制するために血中のLDLコレステロール濃度が上昇するとされているが、マウスを対象とした研究では、LDLコレステロール受容体活性の増大が判明している。
# by saru3toru | 2005-02-07 19:58 | 科学情報

緑茶を飲むと持久力が高まる

 カテキン豊富な緑茶抽出成分(0.2%-0.5% [w/w])を10週間投与したマウスは、与えた緑茶抽出成分量に比例して運動持続時間が改善するということです。0.5%の緑茶成分が投与されたマウスでは運動持続時間が24%上昇した。

 これは花王の研究者らが2004年11月24日のAm J Physiol Regul Integr Comp Physiol誌に発表した研究成果です。
 緑茶抽出成分は骨格筋の脂肪利用を促進して、炭水化物の利用を抑制し、運動持続時間を延長させているということです

 人間に換算すると、体重75kgの運動選手が毎日0.8リットルの緑茶を飲むと今回と同じような持久力の向上が期待できる。
 すでに緑茶好きのマラソン選手にはもう効き目がないのでしょうか。
# by saru3toru | 2005-01-31 21:25 | 科学情報

Manchester大学とLondon大学、メラノプシンが光色素であることを確認

 英国Manchester大学と英国London大学の研究者たちは、1月27日、ヒト・メラノプシン遺伝子をマウスの神経系細胞株に導入、光感受性を与えることに成功したと発表した。得られた知見は、失明に対する全く新しい治療法の開発に結びつく可能性がある。詳細は、Nature誌電子版に1月27日に報告された。
 Manchester大学のグループを率いたRob Lucas氏はこれまで、概日周期の研究に取り組んできた。「視覚の研究は、網膜に存在する、桿体細胞と錐体細胞という光受容器を対象に行われてきた。しかしわれわれは、先頃、メラノプシンが第3の光受容器であることを示唆する結果を得た」と氏は説明した。氏らは先に、哺乳類の網膜のガングリオン細胞の一部が、特定の非イメージ形成応答を制御する光受容器として機能していること、この特殊な光感受細胞はメラノプシンを発現していること、メラノプシン遺伝子が機能しなくなるとこれらの細胞は光感受性を失うことを発見した。が、細胞の光感受性におけるメラノプシンの正確な役割は明らかではなかった。
 そこで今回、氏らは、ヒト・メラノプシンをマウスの神経系培養細胞株Neuro-2aに発現させたところ、それらの細胞は光感受性を得た。単一遺伝子を活性化すれば機能する光受容細胞が作製できるというのは、驚くべき発見だ。この条件下では、メラノプシンは、光色素として機能しており、G蛋白質を介したイオン・チャンネルの開閉を通じて生理的な光検出を行っていた。メラノプシンによる光応答は、cis-retinaldehydeを必要とし、短波長の光に選択的に反応することも明らかになった。
 Lucus氏らは、メラノプシンの機能の欠陥は、ある種の鬱や不眠症にも関わっていると考えている。氏は「われわれは今回、この遺伝子の役割を理解した。さらに研究を進めれば、気分や睡眠パターンへの影響を知ることもできるだろう」と述べた。
 これまで、失明に対する治療法の開発をめざす研究者たちは、桿体細胞と錐体細胞の機能を失った人々を前に苦闘してきた。今回得られた知見は、メラノプシンを利用すれば、目の中にある神経細胞に光感受性を与えられることを示唆し、失明治療に全く新しいアプローチを提供すると期待される。
# by saru3toru | 2005-01-31 21:24 | 科学情報